「よ、嫁っ?」
「森に帰ったのもそのためだ。ほら」

 ほら、と軽く言ってポケットから指輪を取り出してきた。ダイヤとかじゃなさそうなその指輪を見て、更に混乱してしまう。

「ま、ま、待って」
「嫌か?」

 いや、いや、嫌じゃない。というかそういう事じゃない。
 寝起きだし、寝癖も酷いし、帰ってきてたことにも驚きだし、そもそも付き合うこともすっ飛ばして、いきなり結婚とか。もう地球が滅亡するまであと三日しかないのに、えっと、こういうのって、両家顔合わせとかあるんじゃないの。

「と、とりあえず顔洗わせて」
「ああ、いいぞ。コーヒー入れて待ってる」

 さっきはあんなに泣きそうな顔をしていたのに、何だか余裕たっぷりな顔つきに変わってさっさと台所に消えてしまった。出来るのかと少し様子を見たが、そういえば私がやってるのを見たこともあるはず。