その誓いは、神か、あるいは閻魔大王に喧嘩を売っているみたい。私もその気になって「なってやるー!」と大声を上げた。
 大丈夫。彼となら。
 お互いの手に力が籠った。

 学校に着いて、屋上に向かうと先生はもういた。午前八時過ぎ。

「先生、早いね」
「ま、教師だからな」

 先生はスーツに身を包み、本当に仕事に来たように、ほら座れ着席だ、と持ってきたのか、勉強机を指した。教壇まである。
 こいるが校舎内に戻ってしまうのを一瞥し、言われるがまま腰をかけると、キーンコーンカーンコーンとチャイムが鳴る。

 久しく聞かなかった音色。懐かしさに、口元を抑えた。
 あまりクーラーがかかっていなかった教室。先生の流れる声。こっそりとふざけ合う男子、手紙を回す女子。強い日差しに、濃い影。全てが頭の中に流れ込んできて、懐かしかった。

「最期に、授業をさせてくれないか」

 私は頷く。

「俺は……お前たちを卒業させたかった。でも出来ないからな、だから、今日、俺とお前だけで卒業しよう」
「……はい、先生」