「え! だって本当のことだから……、他校の男子とか怖いし……」
しばらく笑いっぱなしの私に、天音は必死であの時の心境を教えてくれた。
『須藤と夢花さんは別人だろ』
再び赤沢君の言葉が浮かんできて、私はハッとする。
本当にそうだ。天音と夢花は……、全くの別人だ。
今まで、私はなんて、失礼な思い込みで天音のことを見ていたんだろう。
自分のことが、恥ずかしくなる。
「ふわ……、何か眠くなってきちゃった」
「うん、おやすみ。天音」
「粋、明日も楽しもうね」
スタンドライトの光を消して、私たちは静かに目を閉じた。
夢花と重ねずに、天音自身のことをこれからもっと見ていきたい。そしてもっと、本当の意味で仲良くなっていきたい。
そんなことを思いながら、そっと瞼を閉じた。
翌日。教師たちの雰囲気はかなりピリピリしていた。
なぜなら、祥子とえりなが夜間に抜け出していたことがバレてしまったのだ。
私たちは一切秘密にしていたから、他の生徒が告げたのか、真相は分からない。
えりなと祥子は呼び出され、とても厳しく叱られ、とんでもない量の課題を出されてしまったらしい。
早朝、二人が部屋に帰ってくると、地獄のような空気が室内に生まれた。
私たち四人は一言も会話をしないまま部屋を出て、奈良に向かうため観光バスに乗り込んだ。
私は天音の隣に座ったけれど、通路を挟んだ隣にいる二人は、バスの移動中もスマホをいじりっぱなしで、全く会話をしていなかった。
クラスで目立つ二人が思い切り不機嫌だと、クラスの全体の空気にもダイレクトに影響してくる。
何とも重苦しい空気の中、私たちは奈良へ到着した。
「二人、先生に相当怒られちゃったのかな……」
バスを降りるとすぐに、天音が心配そうに耳打ちしてきた。
たしかに、あそこまで落ち込んでいるとは思わなかったので、相当しぼられてしまったんだろうか。
二人の様子が気にかかった私は、天音に先に行くようお願いして、一番後ろをだるそうに歩いている二人の元へ向かった。
「えりな、祥子。あの……大丈夫?」
暗い顔をしている不機嫌そうな彼女たちにそう問いかけると、祥子は「あのさー」と不機嫌そうに声をあげた。
「誰かがチクッたとしか思えないんだよね。実際昨日の夜は部屋に戻るまで教師に見つかってなかったし」
「え……?」
しばらく笑いっぱなしの私に、天音は必死であの時の心境を教えてくれた。
『須藤と夢花さんは別人だろ』
再び赤沢君の言葉が浮かんできて、私はハッとする。
本当にそうだ。天音と夢花は……、全くの別人だ。
今まで、私はなんて、失礼な思い込みで天音のことを見ていたんだろう。
自分のことが、恥ずかしくなる。
「ふわ……、何か眠くなってきちゃった」
「うん、おやすみ。天音」
「粋、明日も楽しもうね」
スタンドライトの光を消して、私たちは静かに目を閉じた。
夢花と重ねずに、天音自身のことをこれからもっと見ていきたい。そしてもっと、本当の意味で仲良くなっていきたい。
そんなことを思いながら、そっと瞼を閉じた。
翌日。教師たちの雰囲気はかなりピリピリしていた。
なぜなら、祥子とえりなが夜間に抜け出していたことがバレてしまったのだ。
私たちは一切秘密にしていたから、他の生徒が告げたのか、真相は分からない。
えりなと祥子は呼び出され、とても厳しく叱られ、とんでもない量の課題を出されてしまったらしい。
早朝、二人が部屋に帰ってくると、地獄のような空気が室内に生まれた。
私たち四人は一言も会話をしないまま部屋を出て、奈良に向かうため観光バスに乗り込んだ。
私は天音の隣に座ったけれど、通路を挟んだ隣にいる二人は、バスの移動中もスマホをいじりっぱなしで、全く会話をしていなかった。
クラスで目立つ二人が思い切り不機嫌だと、クラスの全体の空気にもダイレクトに影響してくる。
何とも重苦しい空気の中、私たちは奈良へ到着した。
「二人、先生に相当怒られちゃったのかな……」
バスを降りるとすぐに、天音が心配そうに耳打ちしてきた。
たしかに、あそこまで落ち込んでいるとは思わなかったので、相当しぼられてしまったんだろうか。
二人の様子が気にかかった私は、天音に先に行くようお願いして、一番後ろをだるそうに歩いている二人の元へ向かった。
「えりな、祥子。あの……大丈夫?」
暗い顔をしている不機嫌そうな彼女たちにそう問いかけると、祥子は「あのさー」と不機嫌そうに声をあげた。
「誰かがチクッたとしか思えないんだよね。実際昨日の夜は部屋に戻るまで教師に見つかってなかったし」
「え……?」