頼りになる将軍たちは王様と一緒に戦争に行っていて国にはいません。ある者は王様と同じように亡くなり、無事に帰ってきたとしても怪我をしていて、姫君を支えることができるとは限りません。この小さな国の大臣たちは、まだ都まで攻められたわけではないのだから抵抗すべきだと言う意見を、口に出したりはしませんでした。王様のかわりに戦の先頭に立てる王子様もおらず、姫君はか弱く、頼りにならないと考えていたのです。皇帝を恐れていて、残念ながら彼ら自身もあまり頼りにはなりそうにありません。
たった一人で遺された姫君は、お城へ向かってくる皇帝に、たった一人で立ち向かわなければなりませんでした。
王様やお妃様が心配していたのよりも、ずっと悪い状況で、姫君はこの国のすべてを背負わされてしまったのです。
戦争に勝ち、この小さな国を手に入れた皇帝は、戦場からまっすぐに王様のいた都にやってきていました。
皇帝の軍隊はきらびやかな旗をひらめかせて、堂々と町を歩きます。ひっそりとしている町は亡くなった王様を悲しんでいるようでもあり、人々の怯えを表しているようでした。町までもが死んでしまったようでした。人々は家から決して出てきません。皆に好かれていた王様を失い、力で周りの国々を従えて来た皇帝が、この国を治めることになるのです。戦争に負けてしまった国は、ひどい扱いを受けるものだと皆思っていました。時には、奴隷にされてしまうこともあるのです。
皇帝は、皇帝が住んでいるのとは比べ物にならないくらい、ひっそりとしたお城へ入りました。大臣たちは、かしこまってお城の入り口で皇帝を出迎えました。本当ならば、戦に負けてしまった国の大臣たちは捕らえられてしまうものですが、皆があまりにも小さくなって皇帝を恐れているので、皇帝は笑っただけで気にも留めませんでした。
小さなお城は古く、けれどもとても清潔に保たれていました。皇帝は大股で力強く、靴の底で石畳を鳴らしながら歩いていきます。そうやって進んでいくと、王様が座るための玉座のある大広間まですぐたどり着けるくらい、小さなお城でした。
その広間に着くよりも先、すぐ前にある回廊で、若い皇帝は歌声を聞きました。
たった一人で遺された姫君は、お城へ向かってくる皇帝に、たった一人で立ち向かわなければなりませんでした。
王様やお妃様が心配していたのよりも、ずっと悪い状況で、姫君はこの国のすべてを背負わされてしまったのです。
戦争に勝ち、この小さな国を手に入れた皇帝は、戦場からまっすぐに王様のいた都にやってきていました。
皇帝の軍隊はきらびやかな旗をひらめかせて、堂々と町を歩きます。ひっそりとしている町は亡くなった王様を悲しんでいるようでもあり、人々の怯えを表しているようでした。町までもが死んでしまったようでした。人々は家から決して出てきません。皆に好かれていた王様を失い、力で周りの国々を従えて来た皇帝が、この国を治めることになるのです。戦争に負けてしまった国は、ひどい扱いを受けるものだと皆思っていました。時には、奴隷にされてしまうこともあるのです。
皇帝は、皇帝が住んでいるのとは比べ物にならないくらい、ひっそりとしたお城へ入りました。大臣たちは、かしこまってお城の入り口で皇帝を出迎えました。本当ならば、戦に負けてしまった国の大臣たちは捕らえられてしまうものですが、皆があまりにも小さくなって皇帝を恐れているので、皇帝は笑っただけで気にも留めませんでした。
小さなお城は古く、けれどもとても清潔に保たれていました。皇帝は大股で力強く、靴の底で石畳を鳴らしながら歩いていきます。そうやって進んでいくと、王様が座るための玉座のある大広間まですぐたどり着けるくらい、小さなお城でした。
その広間に着くよりも先、すぐ前にある回廊で、若い皇帝は歌声を聞きました。