その歌声は金の鈴。
 まろやかに、耳に響く。

 
 昔々、遠いどこか。緑の豊かな、小さな国がありました。
 優しい王様と、慈悲深いお妃様はとても仲が良く、国は平和でした。けれど、そんな国でも、たくさんの心配事を抱えていました。
 王様夫婦はとても仲が良かったのですが、なかなか子どもが生まれなかったのです。
 王様とお妃様は子どもが出来なくても、自分たちや、国の人々が平和に暮らしていければそれで良いと思っていました。あまり気にして、お互いに傷つけたくないと考えていました。
 けれども、大臣たちは国を心配するあまりに、王様たちと同じようにはできませんでした。王様の跡を継ぐ人が必要だったからです。どうしても王様に子どもが生まれなければ、大変な問題になります。もちろん、王様とお妃様も心の中ではよく分かっていました。
 そんな中、皆が待ちわびたことに、とうとうお妃様が子どもを身ごもりました。
 王様はとても喜び、国中はお祝いの空気に包まれました。皆大喜びではありましたが、同時に心配もしていました。お妃さまはもう若くはなかったので、少し不安ではありましたが、皆の喜びに心が落ち着くのを感じていました。
 そうしてようやく、王様にたった一人の子どもが生まれたのです。
 やっと生まれた大切な子どもでした。とても喜んだ王様でしたが、単純に喜んでばかりもいられませんでした。
 生まれたのは女の子でした。跡を継ぐには、王子が必要だったのです。
 しかしながら、もちろん姫君が、よその国の王子と結婚し、その王子が国を治めることもできます。姫君がしっかりと成長すれば、お互いに助け合っていくことができるでしょう。
 けれどもやがて人々は気づきました。乳母の腕の中で姫君が、鮮やかに笑いながら、また大きな声で泣きながら、少しずつ成長していく様子を見守っている間に、様子がおかしなことに気がつきました。
 姫君は、目が見えなかったのです。
 跡を継ぐ人が、盲目の少女一人。