いつから間違えたんだろう……。

亜由は、無意識に、和樹の居る方へと手を伸ばしていた。

「亜由?」

僅かに聞こえた、和樹の声に、亜由は、必死に和樹の姿を探していた。

その瞬間、バチバチバチッと大きな音がして、充満する煙の中、火花が、油に引火したのが分かった。燃え上がる炎に僅かに和樹の姿が見える。

「和樹!」

大声で夫の名を呼びながら伸ばした、亜由の両手を和樹が掴むと、和樹は、亜由の名を呼んで、強く抱きしめた。

その瞬間、激しい爆発音と燃え盛る紅蓮の炎を見たのを最後に、亜由の意識は、一瞬で消え失せた。