「線香花火……いつかしたいな」

いつか、もっと心の傷が癒えた時、由奈との幸せの記憶を、思い出してみたい。 

花灯が、形の良い唇を、持ち上げた。

「そう遠くないよ」

ーーーー線香花火の事だ。

そう遠くない未来に、私は心から笑える日が来るのだろうか。幸せの記憶をたどり、前だけを見つめて未来に希望を、感じることができるだろうか。

「ありがとう……」

花火は、来未の瞳を一瞬だけ見ると、再び視線をパソコンに落とした。