花灯は、来未の処分を終え、見慣れた自宅の鍵を回した。
一階の丸椅子にも、二階の和室の窓辺にも、来未の姿はもうない。呼び鈴を鳴らすことも、もうないのだろう。
『おかえりなさい』
そう言って、自分をいつも待ってくれていた来未がいない家は、いつもと同じ夜なのに、なぜか、自分を深く引き摺り込むように絶望の闇が、じわじわと心を侵食していく。
花灯は、ポケットから煙草を取り出し、マッチで火をつけた。暗闇の中、天井へと向かう白い煙に少しだけ心が落ち着く気がして、小さな溜息が漏れ出た。
「……どうかしてるな……」
花灯は、パソコンの電源を入れると、ショーケースに並んでいる花火達を、端から順番に触れながら、波多野と西川の花火のビジョンの記憶を辿っていく。
今まで、波多野文香が蛍の件に、一枚噛んでいることはわかっていたが、志田大樹の妹の愛瑠が、蛍達を狙っていたことは、知らなかった。
現場には、志田大樹のDNAと蛍の遺体しか残されておらず、蛍の死体解剖で分かったのは、鋭利な刃物で、腹部を数回刺された事が原因での失血死だった。
ーーーーそもそも、蛍を殺ったのはどっちだ?
一階の丸椅子にも、二階の和室の窓辺にも、来未の姿はもうない。呼び鈴を鳴らすことも、もうないのだろう。
『おかえりなさい』
そう言って、自分をいつも待ってくれていた来未がいない家は、いつもと同じ夜なのに、なぜか、自分を深く引き摺り込むように絶望の闇が、じわじわと心を侵食していく。
花灯は、ポケットから煙草を取り出し、マッチで火をつけた。暗闇の中、天井へと向かう白い煙に少しだけ心が落ち着く気がして、小さな溜息が漏れ出た。
「……どうかしてるな……」
花灯は、パソコンの電源を入れると、ショーケースに並んでいる花火達を、端から順番に触れながら、波多野と西川の花火のビジョンの記憶を辿っていく。
今まで、波多野文香が蛍の件に、一枚噛んでいることはわかっていたが、志田大樹の妹の愛瑠が、蛍達を狙っていたことは、知らなかった。
現場には、志田大樹のDNAと蛍の遺体しか残されておらず、蛍の死体解剖で分かったのは、鋭利な刃物で、腹部を数回刺された事が原因での失血死だった。
ーーーーそもそも、蛍を殺ったのはどっちだ?