人妖(じんよう)学園。
 名前のとおり人と(あやかし)の国立共学校で、充実した設備と広大な敷地を有している。

 世界ではじめて設立された人間とあやかしの学校ということで、歴史深く誰もが憧れる場所だ。

 そして人妖学園は、どの学校よりも推奨されて行われていることがある。

 それが、人間とあやかし同士が結ぶ「番契約」だ。

 番とは、いわゆるパートナーのことであり、契約を交わすことでその二人は強い間柄で結ばれる。

 相手を思いやり、相手を慈しみ、相手を受け入れる。そうすることで強固な絆となった番は、人間とあやかしの血を混じらせ種族間で広げていく。

 人間とあやかしの婚姻が公的に認められるようになり、あやかしたちは自身の血を色濃く繁栄させる番を求めるようになった。

 あやかしが求める血の繁栄は、妖力を持たない人間と交わることでうまくいくとされている。

 何色にも染まっていない純粋な器が人間は、妖力のあるあやかしからすれば力が混じりやすい存在なのだ。

 昔は生贄としてあやかしに嫁ぐ人間も多かったと聞いているけれど、このご時世はもはや争奪戦である。

 より上位のあやかしと番になることは、人間にとって、特に女子からするととてつもないステータスになるのだ。