清は、すぐそこで目を見開いて私を見ている。
 私は顔こそ上げたけど、両手はついたままだ。

 清の顔は、それなりに整っていると思う。
 あやに言わせれば、私と清の顔のつくりはそっくりなのだそう。
 表情やたたずまいがあまりにも違うから、普段は別人のように見えるけど、ふとした瞬間の真顔なんかがとても似てる、と言っていた。

 私には、まったく実感がない。
 たぶん私は可愛くなどないから、可愛い顔の清と顔が似ているなんて、信じられない。

 それに、顔がいくら可愛くても……私にとっての清は、可愛いなどと思うひまもない、恐ろしい存在だった。

「また、父さまと母さまに怒られたのよ。あんたはわがままだ、って。忌み子といっしょに生まれてきたからだ、って。……とんでもないわよね? あんたが生まれてきたばっかりに!」

 清の両親ということは、私の生みの親でもあるのだけれど、彼らは私のことを自分の「子ども」だとは絶対に認めない。
 忌み子、と呼び、最初からいてはならなかった者として扱っていると聞く。

 清は、地団駄を踏む。

「お母様も……お父様も……うるさい村人たちも、いつも、いつも……私がわがままなのは忌み子の呪いだとか、挙句の果てには水害や不作を収められないのはやっぱり忌み子といっしょに生まれてきたからだとか、とんでもないことばっかり言って。でも、だとしたら私のせいじゃないわよね。あんたのせいよね」

 清は頭を抱えてから、私を見た。

「ねえっ。あんたのせいよね?」
「……そうですね」
「そうよね? それなのに、なぜ私が責められなければならないの。どうして生きてるの。ねえどうして生き続けているのよ。 あんたがいなければ、私は忌み子の呪いがなんとかとか、言われなくてよかったのよ?」

 ……私も、思いますよ。
 よく考えます。
 どうして私は生き続けているんだろうな、って……。