「マリエッタも、早く僕に溺れてくれたらいいのに」

 らしくない、あまりに切実な声色に、私は思わず笑ってしまって。

(そんなの、とっくに)

 返答はわざと飲み込んで、愛おしい腕の中でくすくすと笑み続ける。
 エストランテのこと、ロザリーのこと。これから考えなければならないことが、たくさん待っているけれど。

(ルキウスとなら、乗り越えられる)

 そう遠くはない喧騒の時を予感しながらも、今はただ、心地良い"愛"の熱にまどろんだ。