「~~~~! 必ずや、耐えてくださいませ!」
ロザリーへの未練を断ち切り、背を向けた私は駆け出した。
ルキウスが心配でたまらないけれど、今、私がここに残ったところで出来ることはない。
ならば、唯一役に立てるのは。
ルキウスの信頼に応えられるよう、一秒でも早く、誰かを見つけてくること。
ドレスの裾を持てるだけ持って、なりふり構わず走る。
後方では紫焔獣の咆哮と、雷鳴を纏った斬撃音が戦闘の激しさを物語っている。
(お願い、誰か近くにいて……!)
祈りながら回廊を駆け、周囲を見渡した、次の瞬間。
「お嬢様、いかがなされましたか!?」
「!」
(騎士団の隊服だわ……!)
本当ならジュニーや、顔見知りの誰かだったらよかったのだけれど。
今は一刻を争う事態。贅沢なことは言っていられない……!
「紫焔獣が、"人柱"もそこに……! お願いします、彼を……ルキウス様をお助けください……っ!」
「紫焔獣と"人柱"に、ルキウス様だって?」
ぜえはあと告げた単語から、事態を悟ってくれたのだろう。
彼はさっと表情を引き締め、
「その方たちはどちらに」
「この先の、白薔薇の庭園です……っ」
「白薔薇の庭園、ですか」
繰り返した声の硬さに、私ははっと気が付いた。
そうだった。あそこは他の人にとっては嫌忌する場。
とっさに「私が一緒にお連れしますわ……!」と叫ぶと、彼は驚いたようにして目を丸めたものの、決意を固めた様相で頷き、
「ご同行、お願いします」
「はい!」
(彼を連れていってから、もう一度人を探しに来なきゃ)
ルキウスがああして頼むくらいだもの。よほど身体が辛いに違いない。
ひとまず今は彼一人でも連れていくのが得策だろうと、私は来た道を彼と共に駆けていく。
「――ここですわ!」
再び戻った庭園では、ルキウスが紫焔獣と応戦している。
ロザリーは、まだそこにいた。
私はぐっと奥歯を噛みしめ、
「……彼女が、"人柱"ですの」
驚愕に絶句する彼が、このまま恐怖にのまれてしまわないよう。
私は強張る頬を必死に見上げ、
「ルキウス様は、身体がお辛いとのことでした。お願い致します。一刻も早くルキウス様の援護と"人柱"の確保を……! 私はもう一度、他の隊員の方を探してまいりますわ……!」
ロザリーへの未練を断ち切り、背を向けた私は駆け出した。
ルキウスが心配でたまらないけれど、今、私がここに残ったところで出来ることはない。
ならば、唯一役に立てるのは。
ルキウスの信頼に応えられるよう、一秒でも早く、誰かを見つけてくること。
ドレスの裾を持てるだけ持って、なりふり構わず走る。
後方では紫焔獣の咆哮と、雷鳴を纏った斬撃音が戦闘の激しさを物語っている。
(お願い、誰か近くにいて……!)
祈りながら回廊を駆け、周囲を見渡した、次の瞬間。
「お嬢様、いかがなされましたか!?」
「!」
(騎士団の隊服だわ……!)
本当ならジュニーや、顔見知りの誰かだったらよかったのだけれど。
今は一刻を争う事態。贅沢なことは言っていられない……!
「紫焔獣が、"人柱"もそこに……! お願いします、彼を……ルキウス様をお助けください……っ!」
「紫焔獣と"人柱"に、ルキウス様だって?」
ぜえはあと告げた単語から、事態を悟ってくれたのだろう。
彼はさっと表情を引き締め、
「その方たちはどちらに」
「この先の、白薔薇の庭園です……っ」
「白薔薇の庭園、ですか」
繰り返した声の硬さに、私ははっと気が付いた。
そうだった。あそこは他の人にとっては嫌忌する場。
とっさに「私が一緒にお連れしますわ……!」と叫ぶと、彼は驚いたようにして目を丸めたものの、決意を固めた様相で頷き、
「ご同行、お願いします」
「はい!」
(彼を連れていってから、もう一度人を探しに来なきゃ)
ルキウスがああして頼むくらいだもの。よほど身体が辛いに違いない。
ひとまず今は彼一人でも連れていくのが得策だろうと、私は来た道を彼と共に駆けていく。
「――ここですわ!」
再び戻った庭園では、ルキウスが紫焔獣と応戦している。
ロザリーは、まだそこにいた。
私はぐっと奥歯を噛みしめ、
「……彼女が、"人柱"ですの」
驚愕に絶句する彼が、このまま恐怖にのまれてしまわないよう。
私は強張る頬を必死に見上げ、
「ルキウス様は、身体がお辛いとのことでした。お願い致します。一刻も早くルキウス様の援護と"人柱"の確保を……! 私はもう一度、他の隊員の方を探してまいりますわ……!」