衝撃を受けたような声と共に、ふつりと光が止んだ。
思わず、といった風のミズキ様に、私は首を傾げ、
「いかがされましたか?」
「ああ、いやね」
ミズキ様はなんでもないように、にこりと笑んで、
「前回とは随分と様変わりしていたもんで、少し驚いてしまっただけさ。失礼したね」
「いえ」
(驚いただけ……にしては、妙な反応だった気がするのだけれど)
微かな引っ掛かりにミズキ様の顔を伺うも、彼は至って落ち着いた声色で、
「やっぱり、マリエッタ様のお気持ちは直接ルキウスにお伝えされたほうがよさそうだ。あの子も、それを待っているだろうからね」
と、ミズキ様がおもむろに立ち上がった。
窓際の机に向かうと、カタリと引き出しを開け何かを取り出す。
それから私の元に戻ってくると、「これね」と静かに眼前にかかげた。
金色をした細身のチェーンの中央で、小さく丸い白石がきらりと光る。
「美しいブレスレットですわね」
ミズキ様は嬉し気に頷いて、
「ちょっとしたお守りみたいなもんでね。お願いなのだけれど、これ、しばらく付けておいてくれないかい?」
「え……? えと、いただいてしまって、よろしいのですか?」
「うん。ほら、近頃ルキウスは忙しいもんだから、あまり会えていないだろう? だからまあ、おまじないってところさね。この石はきっと、マリエッタ様の手助けしてくれるだろうから」
いいかな? と。
伺うようにして首を傾けたミズキ様に頷いて、私は左手を差し出した。
ミズキ様が腰をかがめ、私の手首にブレスレットをつけてくれる。
「ほい、できた」
「ありがとうございます、ミズキ様」
手首を自身に引き戻すと、ちゃらりと手首を流れ落ちる。
白石には魔力が込められているようだけれど、感じ取れるのは軽微で、どんなものかはよく分からない。
(けれどなんだか、不思議と気分が落ち着くというか……)
「忘れてはいけないよ、マリエッタ様」
視線を上げると、柔い口元とは反対に、どこか忠告めいた瞳が向いた。
「お前さんたちの運命は、お前さんたちのものだ。私はいつだって、お前さんたちの幸せを祈っているからね」
思わず、といった風のミズキ様に、私は首を傾げ、
「いかがされましたか?」
「ああ、いやね」
ミズキ様はなんでもないように、にこりと笑んで、
「前回とは随分と様変わりしていたもんで、少し驚いてしまっただけさ。失礼したね」
「いえ」
(驚いただけ……にしては、妙な反応だった気がするのだけれど)
微かな引っ掛かりにミズキ様の顔を伺うも、彼は至って落ち着いた声色で、
「やっぱり、マリエッタ様のお気持ちは直接ルキウスにお伝えされたほうがよさそうだ。あの子も、それを待っているだろうからね」
と、ミズキ様がおもむろに立ち上がった。
窓際の机に向かうと、カタリと引き出しを開け何かを取り出す。
それから私の元に戻ってくると、「これね」と静かに眼前にかかげた。
金色をした細身のチェーンの中央で、小さく丸い白石がきらりと光る。
「美しいブレスレットですわね」
ミズキ様は嬉し気に頷いて、
「ちょっとしたお守りみたいなもんでね。お願いなのだけれど、これ、しばらく付けておいてくれないかい?」
「え……? えと、いただいてしまって、よろしいのですか?」
「うん。ほら、近頃ルキウスは忙しいもんだから、あまり会えていないだろう? だからまあ、おまじないってところさね。この石はきっと、マリエッタ様の手助けしてくれるだろうから」
いいかな? と。
伺うようにして首を傾けたミズキ様に頷いて、私は左手を差し出した。
ミズキ様が腰をかがめ、私の手首にブレスレットをつけてくれる。
「ほい、できた」
「ありがとうございます、ミズキ様」
手首を自身に引き戻すと、ちゃらりと手首を流れ落ちる。
白石には魔力が込められているようだけれど、感じ取れるのは軽微で、どんなものかはよく分からない。
(けれどなんだか、不思議と気分が落ち着くというか……)
「忘れてはいけないよ、マリエッタ様」
視線を上げると、柔い口元とは反対に、どこか忠告めいた瞳が向いた。
「お前さんたちの運命は、お前さんたちのものだ。私はいつだって、お前さんたちの幸せを祈っているからね」