「お願いしますわ。自業自得とはいえ、少々疲れました」

「そうだ、僕が横抱きで……」

「結構ですわ。自分で歩きます。……いえ」

 私はルキウスの腕に預けた手に、くっと力を込めて、

「ルキウス様の隣を、並んで歩きたいのです」

 ちょっと悪戯っぽく笑んだ私に、ルキウスは珍しく深い息を吐きだしてから、

「もちろん、マリエッタの望むままに!」

 どこかやけっぱちな言い方がなんだか懐かしくて、私は彼と顔を見合わせて笑った。