「私が母と出会った時、私はまだ幼い小学一年生でした」

「…出会った?」

「はい。私達、血が繋がっていないので」


そう、私達は血が繋がっていない。独身の母が6歳の私を施設から引き取ったその日、私達は親子になった。今は離れて暮らしている、私の優しいお母さん。元気にしているだろうか。


「母は、とても温和な優しい人で、そんな母が私は大好きでした。だから私はいつも母の自慢をして歩いてたんですけど…でも、やっぱり言われるんですよね」

「何を?」

「全然似てないって。やっぱり私の母じゃないって」

「……そう」

「まぁ、周りも幼かったので、言葉がストレートでもしょうがないんですけどね。でも、それでもいつもそれが悔しくて、どうしたら親子だって認めて貰えるのかって、それから考えるようになりました」


きっかけはその時の言葉だった。その言葉はただの冗談の一つだったかもしれない。でもそれは、子供時代を過ぎてからもずっと私の中にあった。

親子だという事に、私のお母さんなのだという事に、私はいつまでも拘っていたのだと思う。


「それで気づいたんです。いつも人の為を思う母を見て私が学んだ、人に優しくするという事。これを大事にしていく事が、私と母を親子にする一番の方法だと」


それは、間違ってない。今だって何の揺らぎもない、私の目標。