雪弥は、ブランドバックが並ぶショーウィンドーの前で同じように足を止めた。忌々しいと言うような顰め面で、何やら考えているような彼の顔を見つめる。

「視覚に頼るしかない、というところなんでしょうか」
「それ当たり前の事なのでは、みたいな顔で訊いてくるな」

 低い声で言った宮橋が、手元に目を落としたままボソリと「イラッとする」と呟いた。

「あれ? 宮橋さん、今僕の方を見ていませんよね?」
「それくらい声だけでも分かる」
「でも実際、僕らはふらふらと歩いているその女の子の姿を捜して、視覚頼りでこうして歩き回っているわけでしょう」

 訊き込み無しの、地道な捜索活動だ。

 この都心内に含まれている三つの地の範囲は、地図上で確認すると想定していたよりも広くはない。とはいえ、結構長時間歩き回っているのも確かだった。

 雪弥としては、色々と不思議な捜査をしているようにも感じて大人しく付いて行くしかないでいる。だが、そろそろ本当に捜せるのかなと、ちょっと思わなくもない。