そもそも『L事件特別捜査係』だなんて、初めて聞いた。
黙々と歩く宮橋に付いて行きながら、暇を潰すように空を見やる。これまで関わってきた警察機関を思い返すに、どうやらN県警にしかないものであるらしいとは推測していた。
やがて巨大なテレビモニターが付いたビルが見えてきた。いくつもの店が入った背の高い建物が並んでいて、茜色の日差しも弱まった薄い夕焼け空の下、夜の営業を始めた居酒屋の出入り口も賑わっている。
「ちょっとばかし想定外だったのは、かなり『視』えづらい事だな」
そんな声が聞こえて、雪弥は宮橋の横顔を見やった。
何やらじっくり考えているようで、眉間には小さな皺が出来ている。それを呑気に見つめていた雪弥は、数秒だけ考えて、ひとまず相槌を打つように言いながらピンっと指を立てた。
「うーん、と――つまり『分かりづらい』と?」
「君、また考えるのを放り投げたな?」
それでいて妙な順応力を発揮して質問も大きく間違っていないのも、どうなんだろうな、と宮橋が綺麗な顔を顰めて視線を返す。
黙々と歩く宮橋に付いて行きながら、暇を潰すように空を見やる。これまで関わってきた警察機関を思い返すに、どうやらN県警にしかないものであるらしいとは推測していた。
やがて巨大なテレビモニターが付いたビルが見えてきた。いくつもの店が入った背の高い建物が並んでいて、茜色の日差しも弱まった薄い夕焼け空の下、夜の営業を始めた居酒屋の出入り口も賑わっている。
「ちょっとばかし想定外だったのは、かなり『視』えづらい事だな」
そんな声が聞こえて、雪弥は宮橋の横顔を見やった。
何やらじっくり考えているようで、眉間には小さな皺が出来ている。それを呑気に見つめていた雪弥は、数秒だけ考えて、ひとまず相槌を打つように言いながらピンっと指を立てた。
「うーん、と――つまり『分かりづらい』と?」
「君、また考えるのを放り投げたな?」
それでいて妙な順応力を発揮して質問も大きく間違っていないのも、どうなんだろうな、と宮橋が綺麗な顔を顰めて視線を返す。