「さすがの僕も、歩くのに飽きてきたな」
「疲れた、ではなくその感想ですか?」
雪弥は隣を歩きながら、大きな歩道を渡っていく沢山の人々の様子を、なんとなく眺めつつ尋ねた。擦れ違う人達のざわめきは、歩道の青信号音を押しのけんばかりだった。
「暇は大敵なんだよ、雪弥君。余計な疲労感を誘う」
返ってきた答えを聞いた雪弥は、思うところがある表情を浮かべて「まぁ、そうでしょうね」と曖昧な口調で相槌を打って目を戻した。
「こうして歩き回って、町中で一人の女の子とバッタリ遭遇する確率も低いかと……」
「遭遇するさ。知っているという事は、時には縁あるモノを引き寄せたりする。僕らはあの骨がどういうモノであるのか、そして彼女の身に何かしら異変が起こっていると『識っている』からね」
道を渡った宮橋が、そこでポケットに手を入れたまま明るいブラウンの目を向けてきた。やっぱりガラス玉みたいで、何を思い考えているのかよく分からない。
「疲れた、ではなくその感想ですか?」
雪弥は隣を歩きながら、大きな歩道を渡っていく沢山の人々の様子を、なんとなく眺めつつ尋ねた。擦れ違う人達のざわめきは、歩道の青信号音を押しのけんばかりだった。
「暇は大敵なんだよ、雪弥君。余計な疲労感を誘う」
返ってきた答えを聞いた雪弥は、思うところがある表情を浮かべて「まぁ、そうでしょうね」と曖昧な口調で相槌を打って目を戻した。
「こうして歩き回って、町中で一人の女の子とバッタリ遭遇する確率も低いかと……」
「遭遇するさ。知っているという事は、時には縁あるモノを引き寄せたりする。僕らはあの骨がどういうモノであるのか、そして彼女の身に何かしら異変が起こっていると『識っている』からね」
道を渡った宮橋が、そこでポケットに手を入れたまま明るいブラウンの目を向けてきた。やっぱりガラス玉みたいで、何を思い考えているのかよく分からない。