猫と名乗った占い師と別れてから、雪弥は宮橋が足を進めるままに都会の町中をただ歩き続けた。彼は時々目的の場所を決めたような足取りを見せたかと思ったら、ちょっと秀麗な眉を寄せて、また目的もない散策に戻るような歩調になった。
次第に西日が濃く色付き、日差しがやわらいでビルの影か目立ち始めた。辺りは高い建物だらけで、どこよりも早く薄暗さに包まれるような印象を受けた。
「都会は、日が暮れるのが早いですね」
がやがやと人が溢れる帰宅ラッシュの中、雪弥は何度目か分からない信号待ちで、囲まれたビルの間にポッカリと覗く空を見上げて口にした。
まだ明るい夕焼け色の空が見えるのに、すでに周囲一帯は電灯が付いていた。吹き抜ける風は、走行する車やトラックの排気ガスの熱気を含んで生温かい。
「まだ明るい方さ。多分ね」
これといって珍しくもない宮橋が、上も見ずそう答えて、歩道の信号が青に変わったのを見て歩き出す。やれやれと言わんばかりにポケットに手を入れていた。
次第に西日が濃く色付き、日差しがやわらいでビルの影か目立ち始めた。辺りは高い建物だらけで、どこよりも早く薄暗さに包まれるような印象を受けた。
「都会は、日が暮れるのが早いですね」
がやがやと人が溢れる帰宅ラッシュの中、雪弥は何度目か分からない信号待ちで、囲まれたビルの間にポッカリと覗く空を見上げて口にした。
まだ明るい夕焼け色の空が見えるのに、すでに周囲一帯は電灯が付いていた。吹き抜ける風は、走行する車やトラックの排気ガスの熱気を含んで生温かい。
「まだ明るい方さ。多分ね」
これといって珍しくもない宮橋が、上も見ずそう答えて、歩道の信号が青に変わったのを見て歩き出す。やれやれと言わんばかりにポケットに手を入れていた。