面差しが似ているかと問われれば、『そうだ』とも答えられるのかもしれない。
けれど、やはり全くの別人だ。幼さなどない、完全な大人の男だった。
受け継がれた血の記憶の中で、その魂は、生きている時に憐れんだ自分の中の獣の夢を見る。憎むでもなく、畏れるでもなく、ただただその男は慈悲の心で憐れんだのだ。
自分の運命を呪わなかったのか。
君もまた、若くして戦いで死んだというのに?
けれど、それは全くなかったのだろうという事は、その微笑みと穏やかな目を見れば一目瞭然だった。――僕は軍人という生き様を知らないから、よくは分からないけれど。
恐らくは彼ほど、その血を理解した歴代の副当主はいないだろう。
事実を見れば、憐れむべくは人か。
けれど、全てには始まりがあるのを忘れてはならない。
怨、厭、慍、おん……獣の咆哮がする。狂ったように響き続けて、反響と残響で誰の声も届かない。
「ああ、なんとも哀しい『犬』だねぇ」
過去へ過去へと遡るような映像の断片の途中――僕は、思わずポツリと言った。
※※※
けれど、やはり全くの別人だ。幼さなどない、完全な大人の男だった。
受け継がれた血の記憶の中で、その魂は、生きている時に憐れんだ自分の中の獣の夢を見る。憎むでもなく、畏れるでもなく、ただただその男は慈悲の心で憐れんだのだ。
自分の運命を呪わなかったのか。
君もまた、若くして戦いで死んだというのに?
けれど、それは全くなかったのだろうという事は、その微笑みと穏やかな目を見れば一目瞭然だった。――僕は軍人という生き様を知らないから、よくは分からないけれど。
恐らくは彼ほど、その血を理解した歴代の副当主はいないだろう。
事実を見れば、憐れむべくは人か。
けれど、全てには始まりがあるのを忘れてはならない。
怨、厭、慍、おん……獣の咆哮がする。狂ったように響き続けて、反響と残響で誰の声も届かない。
「ああ、なんとも哀しい『犬』だねぇ」
過去へ過去へと遡るような映像の断片の途中――僕は、思わずポツリと言った。
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