「ただ君が、仕事において優秀なだけさ。自分にとって、その情報が必要であるのかないのかを判断して、否であれば徹底的に関心を示さない――時にそれを、人は『無情』とも呼ぶ」
ふと言葉を投げ掛けられて、雪弥は思案を止めて見つめ返した。
目が合った猫が、なんだかやっぱり猫の目みたいな瞳でにんまりと笑った。宮橋が「はぁ」と溜息をこぼして、「暇だからといってからかうな」と口を挟む。
「用件は終わった。戻るよ、雪弥君。とっととナナミを見付け出して、この件はさくっと終わらせる。彼女が『こちら側』に出るタイミングを待って歩き回るのは、癪だがね」
「はぁ、つまり地道な捜索というわけですね」
道を引き返した宮橋を見て、雪弥も後に続いて歩き出した。
その時、猫が足を下ろしてぷらぷらさせながら「坊や」と声を投げてきた。これまでになく弾んだ調子のからかうような声を聞いて、宮橋が怪訝そうに見やる。
「いい助言をしてあげよう」
ふと言葉を投げ掛けられて、雪弥は思案を止めて見つめ返した。
目が合った猫が、なんだかやっぱり猫の目みたいな瞳でにんまりと笑った。宮橋が「はぁ」と溜息をこぼして、「暇だからといってからかうな」と口を挟む。
「用件は終わった。戻るよ、雪弥君。とっととナナミを見付け出して、この件はさくっと終わらせる。彼女が『こちら側』に出るタイミングを待って歩き回るのは、癪だがね」
「はぁ、つまり地道な捜索というわけですね」
道を引き返した宮橋を見て、雪弥も後に続いて歩き出した。
その時、猫が足を下ろしてぷらぷらさせながら「坊や」と声を投げてきた。これまでになく弾んだ調子のからかうような声を聞いて、宮橋が怪訝そうに見やる。
「いい助言をしてあげよう」