「初めまして、あたしは『ただの占い師だ』とでも言っておこう」
「はぁ、はじめまして。僕は――」
「名乗る必要はない」
女の子が、ストップだ、と手を前に出して言う。
「そうやすやすと名前を投げるもんじゃないぜ。与えられたら、あたしだって同じように自分の名を『与え返さないといけなく』なるだろう」
「礼儀の話ですか……?」
「違う。だが君が知る必要はない。私の事は、そうだな」
ちょっと考え、彼女が一つ頷いてこう続ける。
「『猫』とでも呼ぶといい。人間は適当でも呼び名がないと困るみたいだからな」
青銀の髪をさらりと揺らして、彼女、猫が頬杖をついてニヤリと笑う。女の子というよりは、とても男の子的な笑顔だと雪弥は感じたりした。
宮橋が「まぁいい」と吐息混じりに言って、改めて尋ねるように腰に片手をあてて口を開いた。
「ナナミという少女を捜している。少し前から『あちら』と『こちら』をふらふらしているが、どこまで移動してしまうのか問いたい」
「はぁ、はじめまして。僕は――」
「名乗る必要はない」
女の子が、ストップだ、と手を前に出して言う。
「そうやすやすと名前を投げるもんじゃないぜ。与えられたら、あたしだって同じように自分の名を『与え返さないといけなく』なるだろう」
「礼儀の話ですか……?」
「違う。だが君が知る必要はない。私の事は、そうだな」
ちょっと考え、彼女が一つ頷いてこう続ける。
「『猫』とでも呼ぶといい。人間は適当でも呼び名がないと困るみたいだからな」
青銀の髪をさらりと揺らして、彼女、猫が頬杖をついてニヤリと笑う。女の子というよりは、とても男の子的な笑顔だと雪弥は感じたりした。
宮橋が「まぁいい」と吐息混じりに言って、改めて尋ねるように腰に片手をあてて口を開いた。
「ナナミという少女を捜している。少し前から『あちら』と『こちら』をふらふらしているが、どこまで移動してしまうのか問いたい」