「前もって空間を遮断して『同じ場にいない』のに、よく言う」

 宮橋がジロリと睨むと、彼女が鼻で「フッ」と笑って頬杖を解いた。量の多い青銀色の髪を、くしゃりとして後ろへと払うと、顎を引き上げてニヤリとする。

「――これくらいの用心は許しとくれよ。その代わり、坊やの目に見えるように『光』で導いて案内してやったろ」
「おかげで、余分にぐるぐると歩かされた」
「君、たったそれだけで怒っているのかい?」

 腕を組んだ宮橋からは、穏やかではない雰囲気が漂っていた。ただそれだけが気に食わないのだと、本心から言っているらしいと気付いた雪弥は、正直な彼の性格に改めて呆れてしまった。

 すると女の子が、胡坐をかくように両足を上げて座り直した。

「ははぁ、呆れたね。おチビさんの頃から、ほんと変わらないんだからねぇ。ふらりと勝手に訪ねて来ては、勝手に望む情報を要求するなんざ、いい性格してるぜ」
「だって君は『そういうモノ』だろう」
「ふふっ、そうさ。占ってくれと来る者がなければ、私は存在の意味を失う」

 と、そこで彼女の目が雪弥を見た。