蒼緋蔵家の番犬 3~現代の魔術師、宮橋雅兎~

 既に目的を決めているようだと改めて見て取った雪弥は、その背に短く言葉を投げてみた。

「関係ないと言っていたのに、その女の子を捜すんですね」
「ああ言わないと、三鬼は僕を追ってくるからな」

 宮橋はカフェから離れるように歩きながら、取り繕わずさらっと答えてきた。

 骨と無関係ではないらしいし、先程、同期で同僚だという三鬼に対して関わるなという風に言っていた。雪弥は思い出して、なるほど、と口の中で思案気に小さく呟く。

「なんだか、宮橋さんという人が少し分かってきた気がします。あなたは、そうですね、多分――優しい人なんですね」
「おい君、そういう事を堂々と本人に感想するのもどうかと思うぞ。僕のどこか優しい人間だと?」

 感じたままに感想した途端、肩越しにジロリと睨まれてしまった。やっぱりその目は、西洋人みたいに形が良くて、瞳の明るい色も異国の血が流れているような印象があった。

 睨まれているのにこれといって反応のない雪弥を見て、宮橋は秀麗な眉を顰めた。少し歩く速度を落とすと、指を向けて「いいかい」と言い聞かせるように続けた。