「珈琲ごちそうさま、三鬼」
言いながら、スーツの襟をしゅっと引っ張って整え直す。
「とりあえず僕は何も知らないし、その子は自分の足で外に出たというし少なくとも今回の事件とも無関係だろ。しばらくしたら戻ってくるんじゃないか?」
「うぐっ、それは、そうだが……」
「君が首を突っ込むほどじゃないよ――じゃあね」
冷たくも感じるほどあっさり踵を返して、ばいばい、と宮橋が後ろ手を振る。雪弥は慌ててカフェラテを空にすると、二人の刑事に軽く頭を下げてその後を追った。
◆◆◆
人混みに入ってすぐ、カフェの方から、二人の刑事の何やら騒がしいやりとりが鈍く聞こえてきた。
雪弥は、そちらにチラリと目を向けやった。ほんの少しだけ考えると、前を進む宮橋の背へと視線を戻す。
日差しに透けて明るいブラウンに見えるウェーブがかった髪先が、宮橋の歩くリズムに合わせてふわっと動いている。その足は、カフェを出てからも迷う様子なく歩いていた。
言いながら、スーツの襟をしゅっと引っ張って整え直す。
「とりあえず僕は何も知らないし、その子は自分の足で外に出たというし少なくとも今回の事件とも無関係だろ。しばらくしたら戻ってくるんじゃないか?」
「うぐっ、それは、そうだが……」
「君が首を突っ込むほどじゃないよ――じゃあね」
冷たくも感じるほどあっさり踵を返して、ばいばい、と宮橋が後ろ手を振る。雪弥は慌ててカフェラテを空にすると、二人の刑事に軽く頭を下げてその後を追った。
◆◆◆
人混みに入ってすぐ、カフェの方から、二人の刑事の何やら騒がしいやりとりが鈍く聞こえてきた。
雪弥は、そちらにチラリと目を向けやった。ほんの少しだけ考えると、前を進む宮橋の背へと視線を戻す。
日差しに透けて明るいブラウンに見えるウェーブがかった髪先が、宮橋の歩くリズムに合わせてふわっと動いている。その足は、カフェを出てからも迷う様子なく歩いていた。


