藤堂が、そんなにお腹空いてたのかな、と呟いて皿を雪弥の方へ寄せた。三鬼が、ぽつりと「世話を焼かれている後輩の大学生みたいになってるな……」と呟く。
「まぁいい。さっき連絡があったんだが、そのナナミって子がいなくなったらしい。眠っていたはずのベッドが空になっていて、玄関が開いていて靴もなくなっているんだと。恐らくは自分の足で出たようなんだが、葬儀の出入りも多くて気付かなかったみたいでな」
何か知ってるか? と三鬼が訊いた。
一瞬、宮橋が訝った表情を浮かべた。いなくなるはずがないのにな、という感想がその顔に出ているようだった。
「どうして僕に?」
言いながら珈琲を手に取り、考えるようにして通りの方へ視線を流し向ける。その様子をじっと見つめていた三鬼が、ぶすっとした声でこう答えた。
「お前の事だから、なんか知ってるかと思ったんだよ。悪ぃか?」
「なるほど。実に三鬼らしい言い方だ」
ふっ、と口許にどちらとも取れない笑みを浮かべて、宮橋が珈琲に口を付けた。
「まぁいい。さっき連絡があったんだが、そのナナミって子がいなくなったらしい。眠っていたはずのベッドが空になっていて、玄関が開いていて靴もなくなっているんだと。恐らくは自分の足で出たようなんだが、葬儀の出入りも多くて気付かなかったみたいでな」
何か知ってるか? と三鬼が訊いた。
一瞬、宮橋が訝った表情を浮かべた。いなくなるはずがないのにな、という感想がその顔に出ているようだった。
「どうして僕に?」
言いながら珈琲を手に取り、考えるようにして通りの方へ視線を流し向ける。その様子をじっと見つめていた三鬼が、ぶすっとした声でこう答えた。
「お前の事だから、なんか知ってるかと思ったんだよ。悪ぃか?」
「なるほど。実に三鬼らしい言い方だ」
ふっ、と口許にどちらとも取れない笑みを浮かべて、宮橋が珈琲に口を付けた。


