そこに座っていたのは、少し前、県警にある宮橋の部屋にいた時に見掛けた、なんだか騒がしく『引っ張り』『引っ張られていた』二人組だった。気付いた彼らが目を寄越してくる中、店のテラスに上がった宮橋が、足を進めながら雪弥にざっくり言った。

「雪弥君、あっちにいるのが、僕の同期の捜査一課の三鬼薫。そして隣にいるのが、彼の相棒歴二年の後輩刑事、藤堂司だ」

 改めてそう紹介された三鬼という男は、トレードマークのような眉間の皺を持った、電話越しでも受けたような無愛想で喧嘩っ早い印象のある顰め面をしていた。不健康そうにも見える痩せ型をした長身の男で、スーツをやや気崩していて品なく椅子に腰掛けている。

 対する若い相棒刑事、藤堂の方はネクタイもきっちりと締め、背筋を伸ばして椅子に座っていた。ベビーフェイス寄りの顔だけでなく、全体的な雰囲気からも愛想の良さが伝わってきて、素直さの窺える優しい目もあってか、人懐っこい柴犬を思わせた。