「おい、いちいち電話を掛けてくるなよ馬鹿三鬼の分際で」
『テメェぶっ飛ばすぞ! 一言多いッ、つか電話に出て一番の台詞がそれかよっ!』

 クソ忌々しい、と電話越しに男の怒声がもれる。

『そういや、新人研修ってなんだ? この前、相棒にってあてられた新人の男、一週間で泣いて捜査二課に異動にしてたろ。その特別プログラムの試験運用の奴、大丈夫なのか?』
「なんだ、そんな用で電話してきたのか? あれは勝手にぎゃあぎゃあ騒いで数回失神して、気付いたら出勤してこなくて異動希望を出していたんだ」

 腰に片手をあて、宮橋が「だから僕のせいじゃない」と堂々と口にした。数回失神したって、この人何したんだろうな……と雪弥は聞きながら少しだけ気になった。

「よし、用がないなら切るぞ。じゃあな」
『切るのはやめろッ、俺が用も無しにテメェに電話するかああああああああ!』

 再び電話の向こうで男が怒鳴って、用があるので来いと言い出した。

 つまりは呼び出しの電話だった。