ピリッと空気が張り詰める。そんな中で、彼が思案気に次の言葉を紡いだ。
「――それは、兄さん達に害を与えるためかい?」
妙な問いの仕方だった。どこか古風、それでいて威圧感のあるニュアンスで、ただただ静かに大男に問う。
大男は赤みの強い目を、濁った赤に鈍く光らせて堂々とした態度でこう答えた。
「勿論、次期当主の『首』もいずれ頂く」
その途端、場に漂う殺気量が跳ね上がった。拳を固めた雪弥が「ふざけるなよ」と彼らしくない言葉を低く吐き出して、見開かれた目を大男へと戻した。その目は、血に飢えた獣の目をして、凍えるブルーの光りを灯している。
「ならば『余計に』潰されるものか。絶対に兄さんのところまで行かせない、こちらにとっても懸念になる貴様等を『一人残らず』必ず殺してくれる」
バキリ、と殺気立った雪弥の爪が伸びる。
すると大男が後ろへと飛んで、距離を取ったところで待てというように手を向けた。その大きく太い指が三つ立てられるのを目に留めて、雪弥は「なんの真似だ」と眉を寄せた。
「――それは、兄さん達に害を与えるためかい?」
妙な問いの仕方だった。どこか古風、それでいて威圧感のあるニュアンスで、ただただ静かに大男に問う。
大男は赤みの強い目を、濁った赤に鈍く光らせて堂々とした態度でこう答えた。
「勿論、次期当主の『首』もいずれ頂く」
その途端、場に漂う殺気量が跳ね上がった。拳を固めた雪弥が「ふざけるなよ」と彼らしくない言葉を低く吐き出して、見開かれた目を大男へと戻した。その目は、血に飢えた獣の目をして、凍えるブルーの光りを灯している。
「ならば『余計に』潰されるものか。絶対に兄さんのところまで行かせない、こちらにとっても懸念になる貴様等を『一人残らず』必ず殺してくれる」
バキリ、と殺気立った雪弥の爪が伸びる。
すると大男が後ろへと飛んで、距離を取ったところで待てというように手を向けた。その大きく太い指が三つ立てられるのを目に留めて、雪弥は「なんの真似だ」と眉を寄せた。