「若き番犬候補よ。武人として我が一族の礼儀(おしえ)に従い、俺は一族の戦士部隊長として正々堂々と宣戦布告する」
「おい。僕の話し聞いてた?」

 勝手に始めるんじゃない、と雪弥は余計に腹が立ってきた。

「僕は、お前から宣戦布告されるいわれもな――」
「我らは、ブラッドクロスにつらなる特殊筋『怨鬼』の一族。血の覚醒を迎えた者達によって構成された、特攻と殲滅のための鬼の戦士部隊」

 唐突に出されたのは、初めて聞くカタカナ名と一族の呼ばれだった。

 特殊筋、と聞いて昨日の蒼慶の話が思い出された。人の形とは異なる姿で産まれる家系、『遺伝的な奇病』を持っている家系、もしくは秀でた戦闘能力やら才能を持つ人間が生まれる家系、と色々と説があり定かではない。

 けれど、ただただ自分にとって必要とすることだけを、目の前から単純に考えればどうだろうか。

 別に自分は、その言葉の歴史やら『言葉に含まれる全て』を知りたいわけではない。ならば、導かれる答えはもっと簡単になるのではないだろうか?