そこには、先程と同じようにして宮橋が立っている。少し上を登り掛けた状態で足を止めて、切れ長の明るいブラウンの目でこちらを見下ろしていた。
「意外と混乱はなかったみたいだね」
「何がなんだか、という感じです」
声を掛けてきた彼に、雪弥は一部ぼんやりとしたままのように感じる頭を叩いて答えた。
「それに、なんか――闇一色というのも懐かしい気がして」
一切の光も差さない場所。それが、とても落ち着けた。
恐らくは気のせいだろう。そう思いながらポツリと呟くが、ただただ宮橋はじっと見つめてくるだけだ。やっぱりその美貌と目は作り物みたいで、考えが読めない。
「声だけは聞こえていたんですけど、警戒しろとはどういう意味ですか?」
思考を切り替えて尋ねる。
すると宮橋が動き出して、雪弥のいる方まで向かってきた。
「どうやら僕ら以外にも、ここに入ってきた者がいるらしい。それを警戒しろと『彼』は教えてくれたわけだが、恐らく相手は『君の客人』だ」
「僕の?」
わざわざ山に来るまでの『客人』に覚えはない。
雪弥がそう思って顔を顰めると、目の前に立った宮橋が、自分よりも低い位置にある彼の顔を見下ろして「そんな反応をされてもな、事実だ」とキッパリ言ってのけた。
「意外と混乱はなかったみたいだね」
「何がなんだか、という感じです」
声を掛けてきた彼に、雪弥は一部ぼんやりとしたままのように感じる頭を叩いて答えた。
「それに、なんか――闇一色というのも懐かしい気がして」
一切の光も差さない場所。それが、とても落ち着けた。
恐らくは気のせいだろう。そう思いながらポツリと呟くが、ただただ宮橋はじっと見つめてくるだけだ。やっぱりその美貌と目は作り物みたいで、考えが読めない。
「声だけは聞こえていたんですけど、警戒しろとはどういう意味ですか?」
思考を切り替えて尋ねる。
すると宮橋が動き出して、雪弥のいる方まで向かってきた。
「どうやら僕ら以外にも、ここに入ってきた者がいるらしい。それを警戒しろと『彼』は教えてくれたわけだが、恐らく相手は『君の客人』だ」
「僕の?」
わざわざ山に来るまでの『客人』に覚えはない。
雪弥がそう思って顔を顰めると、目の前に立った宮橋が、自分よりも低い位置にある彼の顔を見下ろして「そんな反応をされてもな、事実だ」とキッパリ言ってのけた。