「なんだ、ちゃんといい相棒が出来たんじゃないですか」
『そう君に言われるのも、なんだか癪だな。まぁいいか。さっき運転してやったら、彼女、元気いっぱいぎゃーぎゃー騒いでたよ。見ていて、すごく飽きない』

 ふふっと宮橋が笑った。

『僕の事を、馬鹿みたいに真っ直ぐ見てくるんだ。……ああ、でも、なんだろうな? 特別面白いわけではないんだけど、くるくる変わる表情だとか飽きなくて』
「それくらい気に入っている感じなんですか?」
『名前に、同じ『橋』という漢字が入っている』

 ……ん?

 断言する感じが、まず興味を持ったのがそこだと教えてきている気もした。しかし雪弥は、返答に困った。

 やっぱり、この人がよく分からない……。

『名前は、橋端真由と言うんだ』
「はぁ。確かに、同じ漢字が一文字入っていますね」
『まっ、それだけだ』

 相棒が来て早々、何やら忙しくしている気配を電話越しに感じた。彼は刑事だ。そもそも今の時間は、業務の真っ最中で忙しいのだろう。

『それじゃ、また』
「はい。それじゃあ、また」

 別れは、再会の言葉でシメられ、二人の電話は終わった。


                  了