「んなこと構ってられますかっ、なんで僕が答える前に決まっちゃってんの!?」
「だーかーらー、そうやって上司を揺らすなというにっ。一応、こっちで一番偉い上司なんだぞ?」

 ぎゃあぎゃあ騒ぐ中、内線に対応しているリザがメモに走り書きする。いつもの空気が久しぶりに戻ったと、彼女の口元には笑みが戻っていた。

「まぁ、最終的にお前も合意したんだし、良かったじゃないか」
「でも、なんかこうっ、うーん、なんだかなぁ……ッ」

 ぐぅっ、と雪弥はが悩み込んだ顔で呻く。

「気持ちは分からんでもない」

 うむ、とナンバー1が咳払いを挟んで言った。さりげなく雪弥の手を離させると、「行儀が悪いから」と足もテーブルから降ろさせる。

「その次期就任の決定の件で、早速招待状が届いている」
「招待、状……て、なんの?」
「一族内でのパーティーだ。本邸でやるらしい」

 めちゃくちゃ行きたくない。

 雪弥は、蒼緋蔵家の人間が遠方からも集う様子に言葉が詰まった。でも兄の蒼慶も認めて決定しているとなると、参加しなかったら後が怖い。