それじゃあ、と、二人は言って離れた。

 先に宮橋が、青いスポーツカーを走らせていった。それを見送ったのち、雪弥はベンツの後部座席に乗り込んだ。

             ※※※

 数日ぶりに、雪弥は西大都市にある特殊機関の本部へと戻った。

 早速、ナンバー1に会うべくその部屋を目指した。昨夜の決めた事について、直接合った際に詳細を話すと伝えてあった通り、すでに彼は雪弥を待ってくれていた。

 雪弥が話す間、ナンバー1は黙って聞いていた。

 ――当主になった際、兄を一番そばで支える『副当主』という役職。

 今回、寄越されたその提案を、受け入れようと思っている……そうナンバー1に改めて打ち明けた。

「エージェントとしての仕事も、きちんとします。プライベートで実家に関わろうと思っているのですが、ナンバー1としては、どう思いますか?」

 そう質問を投げたところで、雪弥は、彼の様子がおかしい事に気付いた。

「ん? ちょっと、なんで目をそらしているんですか」