「相談には、乗らないんじゃなかったんですか?」

 昨夜、また会う事もあるだろう、しめっぽい別れはするつもりはないと言われて『お疲れ会』でビールをめいいっぱい飲んだ。その際に、こんな面倒はこりごりだと宮橋は言ってもいた。

 そんな事を思い返していると、宮橋が答えてきた。

「気紛れに、時々助言してやるくらいは、してやってもいい」

 ひらひらと手を振って、そのまま彼は車に乗り込んでしまう。

 あっさりした人だ。こちらの返答も聞かないのかと思い、雪弥は一旦、スポーツカーの窓をノックして開けさせた。

「じゃあ、いい相棒ができたら教えてください。祝い酒を贈ります」
「可愛くない後輩だなぁ……。そんな都合よく出来るもんか。どうせ寄越されたとしても、また――いや、いい」

 続く言葉を、被りを振って宮橋が止めた。

「君こそ、車の約束、忘れるなよ」
「はいはい、忘れていませんよ。無事、お届けします」