それは本能的に、身体を生かそうとしての彼の能力でもあるのか?

 雪弥は飛んできた砲撃をかわすと、次の攻撃をしかけながら自分と同じく傷はある怨鬼を観察した。したたかに足を振り降ろしてみると、怨鬼が真っ向勝負するかのように両腕で防いできた。

 直後、ズドンッと地面に衝撃が伝わる。

 怨鬼が、呻いた拍子に口から吐血をもらした。それでも耐え、崩れ落ちる事はない。

「でも、こちとら頭にでもかすったら、洒落にならないんだよ」

 正直言うと、この軍艦案を考えた奴、特定できたのなら真っ先に殺しに行きたい。この状況下での突入とか性質が悪いし、この非常にやりずらい感じ、殺意が湧くレベルでめちゃくちゃ腹が立ってくる。

「証拠を残さないのが、我らの組織のやり方だ」
「だからってコレはないと思うんだよね」

 言い合いながらも、雪弥と怨鬼は再び接近戦を始めていた。

 こんなにも長く肉弾戦を続けた、というのもあまり経験になかった。向こうが、力比べみたいに全身でぶつかってくる。