海の上に軍艦が来ているのか?

 狙ったように集中爆撃を受ける中、雪弥はそれをよけながら思った。近くであったのなら、すぐに向かって一旦潰した方が早いのだが――。

「番犬よ! よそ見をしているところではないぞ!」

 舞う土埃の中、まるで唐突といった速さで怨鬼の拳が現われる。

 雪弥は反射的にとびのいた。海側からの砲撃に加えて、異様にスピードもある目の前の巨体な鬼の大将。実にやりづらい。

 近くで爆発し、周りを蠢いていた鬼の身体が弾け飛ぶ。小さな破片が一瞬にして吹き抜けて、雪弥の頬とスーツを裂いた。

「何が正々堂々だっ、ざけんな」

 つい、口調が荒くなった。雪弥は、足を地面にめりこませると、一瞬で前方へ加速して怨鬼の身体を足で打った。

 ――が、その巨体が吹き飛んだ一瞬後、雪弥の真横にミサイル砲が迫った。

「雪弥君!」

 どこからか、宮橋の声が聞こえた。

 ギクリとして慌てて飛び退いた。直後、近くに落ちて爆発した。飛んできた大きな障害物は爪で斬り裂いたものの、完全に全部はよけきれないとは分かっていた。