――原因は、この世の〝理〟のルールを破った、その反転。

 巨大な力のようなモノなのだ。その跳ね返ってきた力が、想定外の威力で牙を剥いて、門舞を打った。

 どうやら今回動いた一件の状況を、利用されたらしい。

 次にルールを破ったら〝理〟が敏感にも反応し、必ず〝咎め〟を落とすよう、巧みにも仕組まれていたようだ。

「見えない方の側、というのは厄介みたいだね。せっかく色々と用意してあげたのに、鑑賞できないなんてなぁ」

 そう言った夜蜘羅が、当初からする気もなかったとは誰もが分かっている。

 彼がやろうと望めば、こんなところで企業の社長として、仕事をこなして出席してはいないだろう。

「あなたが軍艦に仕掛けたモノと、少し似たようなものですよ。ただ、厄介なのは、その相手には物理的なカラクリがない事、ですかね」
「存在していないモノ、か。幽霊みたいに消えたり現われたり、記憶できたりできなかったりするモノは、私は生憎興味がないなぁ」