ガキンッ、とまるで鋼鉄な刃同士を合わせたような音が鳴る。反射的に避けた雪弥は、間近で見た白銀の硬い歯に呻いた。
「嘘だろ……ッ」
咄嗟に脳裏に過ぎったのは、いつぞやの狼モドキの生物兵器より頑丈そう、という感想だった。噛みつかれたら、離すのは容易ではなさそうな印象だ。
押し合いをしていた手が離れて、互いに即距離を取った。その間にも別の鬼が飛びかかってきて、雪弥は怨鬼から目をそらさないまま斬り捨てる。
――直後、ひゅっと小さく息を吸い込んだ二人が、再び勢いよく衝突した。
鬼が牙を剥き、黄色い分厚い爪をした手を振るって、強靭な肉体で挑みかかる。対する雪弥も反撃し、爪を繰り出し、あたらない一瞬後お返しのように歯で腕の肉の一部を噛みちぎっていた。
「バカデカい標的の割りに、爪がかすらないな」
口で噛み抉った肉を、ぺっと吐き捨てる。
一秒も気を抜けない緊迫感で、心臓がドクドクとする感覚。雪弥の口元には、僅かに笑みが浮かんでいた。僅かに掠って出来た頬の傷を、ぐいっと袖で拭う彼に対して、怨鬼も全く同じく高揚した様子だった。
「嘘だろ……ッ」
咄嗟に脳裏に過ぎったのは、いつぞやの狼モドキの生物兵器より頑丈そう、という感想だった。噛みつかれたら、離すのは容易ではなさそうな印象だ。
押し合いをしていた手が離れて、互いに即距離を取った。その間にも別の鬼が飛びかかってきて、雪弥は怨鬼から目をそらさないまま斬り捨てる。
――直後、ひゅっと小さく息を吸い込んだ二人が、再び勢いよく衝突した。
鬼が牙を剥き、黄色い分厚い爪をした手を振るって、強靭な肉体で挑みかかる。対する雪弥も反撃し、爪を繰り出し、あたらない一瞬後お返しのように歯で腕の肉の一部を噛みちぎっていた。
「バカデカい標的の割りに、爪がかすらないな」
口で噛み抉った肉を、ぺっと吐き捨てる。
一秒も気を抜けない緊迫感で、心臓がドクドクとする感覚。雪弥の口元には、僅かに笑みが浮かんでいた。僅かに掠って出来た頬の傷を、ぐいっと袖で拭う彼に対して、怨鬼も全く同じく高揚した様子だった。