「そうとも。命を受け、我が一族が持つ兵を全員連れてきた。たった一人に対してこのような待遇は、初めてである。光栄に思うがいい」
つまり負けたとしても恥ではない、と彼は言いたいようだ。
――初めて?
雪弥は、覚えた違和感に思考がぐらついた。殺意に淀んだ目で標的の肉塊を見て、思う。とても不快だ、と。
この場に溢れたモノらからも、独特の覚えがある気配を感じるが、あの大男からは特にとても厭な気配を感じていた。殺したくて、殺したくて、たまらなくなる。
――愚かな鬼の大将よ。一人、前門で迎え討ってやったのを、忘れたか。
ぐるるる……と憎悪に嗤う獣の呻きを聞いた気がした。噛み砕いた感触、血の味、殲滅した後の荒れ果てた大地のイメージが脳裏を過ぎる。
――あれは〝私〟だったのか。それとも〝獣〟の方だったのか。
ああ、今は、どちらでも構わない。
雪弥は翻った一瞬後、周囲の鬼共をバラバラにしていた。ふわりと舞うように、そのまま手を真っ赤に染めた血を外へと振り払う。
つまり負けたとしても恥ではない、と彼は言いたいようだ。
――初めて?
雪弥は、覚えた違和感に思考がぐらついた。殺意に淀んだ目で標的の肉塊を見て、思う。とても不快だ、と。
この場に溢れたモノらからも、独特の覚えがある気配を感じるが、あの大男からは特にとても厭な気配を感じていた。殺したくて、殺したくて、たまらなくなる。
――愚かな鬼の大将よ。一人、前門で迎え討ってやったのを、忘れたか。
ぐるるる……と憎悪に嗤う獣の呻きを聞いた気がした。噛み砕いた感触、血の味、殲滅した後の荒れ果てた大地のイメージが脳裏を過ぎる。
――あれは〝私〟だったのか。それとも〝獣〟の方だったのか。
ああ、今は、どちらでも構わない。
雪弥は翻った一瞬後、周囲の鬼共をバラバラにしていた。ふわりと舞うように、そのまま手を真っ赤に染めた血を外へと振り払う。