「僕は、いちおう宮橋さんの護衛です。何かあったら」
「そこでまた悩むわけか? おいおい勘弁してくれよ、雪弥君。僕は今回、特別なサポーターだ。こう見えても現代に残された生粋の、一流魔術師なんだぜ」

 柄にもなく、やや品もない感じで言ってのけて、宮橋が強気に笑って見せる。

「残念ながら、ただの人間に〝魔術師〟を継承された僕を〝視る〟事はできない。見えもせず、認識もできないのに殺す事はできないってわけだ」
「はぁ……。つまり『気にせずヤれ』というわけですか?」
「そういう事だ。難しく考えるな。それに僕だって、身の安全のための予防線はきちんと仕込んでもあるさ」

 それなりに考えて付いてきている。そう伝えられた事を察した雪弥は、小さく息をつくと、携帯電話を取り出して宮橋に手渡した。

「『白豆』を預かっていてもらえますか? 携帯電話はどうでもいいんですが、白豆に傷や血汚れが付くのは、可哀そうなので」
「あー、うん、まぁ、構わないよ。いやー、しっかり『飼い主』やってるんだなー。感心、感心」

 宮橋が、どうしてかここにきてほぼ棒読みで言った。