いつの間に現われたのか。積まれたコンテナの前に、黒い〝もや〟のようなものが蠢き、そこから次から次へと出てくる者達の姿があった。
――〝鬼〟がいた。
それは、まさにそう表現する方が相応しい。
「なんだ、あれ」
呟いた雪弥の気配が、すぅっと警戒を帯びて次第に引き締まる。
「だから言ったろう、〝鬼だ〟と」
一人、毅然と顎を上げた宮橋がそう答えた。
周りの気温よりも高い温度をまとっているというのか、身体から立ち昇る異様な湯気。正気ではない呻り声を上げる鬼の形相と、額についたコブのような突起。
身にまとっているのは、古風な武道着のようなものだ。太い首、弾けんばかりに膨れた筋肉、巻かれたベルト装備には鉄製の鈍器や己がある。
まさに表現するならば、鬼の大群。
「いや、いつの時代の話だよ」
いつか見た絵から出てきたような光景に、雪弥は頭がついていかず、くらくらした。
――一瞬、頭を過ぎったのは〝戦乱〟だ。
蒼緋蔵邸で見た、あの古い文献の絵やらを見た影響だろうか。けれど近代的な背景との組み合わせに違和感があるのに、雪弥はこの光景を、ずっと前に見た事があるような錯覚に襲われてもいた。
――〝鬼〟がいた。
それは、まさにそう表現する方が相応しい。
「なんだ、あれ」
呟いた雪弥の気配が、すぅっと警戒を帯びて次第に引き締まる。
「だから言ったろう、〝鬼だ〟と」
一人、毅然と顎を上げた宮橋がそう答えた。
周りの気温よりも高い温度をまとっているというのか、身体から立ち昇る異様な湯気。正気ではない呻り声を上げる鬼の形相と、額についたコブのような突起。
身にまとっているのは、古風な武道着のようなものだ。太い首、弾けんばかりに膨れた筋肉、巻かれたベルト装備には鉄製の鈍器や己がある。
まさに表現するならば、鬼の大群。
「いや、いつの時代の話だよ」
いつか見た絵から出てきたような光景に、雪弥は頭がついていかず、くらくらした。
――一瞬、頭を過ぎったのは〝戦乱〟だ。
蒼緋蔵邸で見た、あの古い文献の絵やらを見た影響だろうか。けれど近代的な背景との組み合わせに違和感があるのに、雪弥はこの光景を、ずっと前に見た事があるような錯覚に襲われてもいた。