それは誰の味方なのだろうか。刑事として守っている人々の事か。それとも彼が大切にもしているらしい同期の刑事達や、同僚や後輩や――そして〝人〟か。

「君ってやつは、ほんと、鈍い子だね」

 そんな声が聞こえて、雪弥は思案をやめた。目を戻してみると、なんだか苦笑を浮かべている宮橋がいた。

「まっ、君の言う通り、僕はどんな理由であれ人を殺す行為を嫌悪している」

 そう言った宮橋が、よいしょと立ち上がった。強く吹きぬけている風に身体が持って行かれないよう、アーム部分の機器の突起に手を置いて身を支えた。

「じゃあ、なぜ僕に付いてきたんです?」

 嫌悪するのなら、見ない方がいい。

 雪弥は、そんな言葉を続けないまま、宮橋を見上げて尋ねた。それなのに彼は、自分に考えさせろと言い、舞台だと言って一番の特等席を陣取ったのだ。

「ふむ。君にしては、まぁまぁいい質問だ」
「『君にしては』って評価が、すでに辛辣すぎる……」
「僕はね、これでも君を気に入っているんだよ。それは、たった少し話しただけの三鬼も、藤堂も。そして食堂で一緒になった連中だって一緒さ」

 それは一体どういう事なのか。