その様子を、雪弥は青い目でじーっと見ていた。うーんと考えて一旦空を見上げる。

「僕は、宮橋さんが考えている事が、いまいちよく分からないんです」

 何が、と宮橋が目を向けないまま、独り言みたいな声量で尋ね返してくる。

 怒っている感じはしない。答えないぞ、という普段の『いちいち質問してくるな』みたいな姿勢でもない事を確認してから、雪弥は続ける。

「あの鬼男の言い方からして、殺し合いです。そして場を用意したという宮橋さんの言い分を思い返すと、戦闘を見越しているのも分かる――でも、あなたは、そういうのが嫌いなんでしょう?」

 雪弥は、彼が『殺し』というキーワードに敏感であるのを考え、後半を言い直した。

 二呼吸分ほど、どこか考えるような間があった。ややあってから、本当にやれやれと言わんばかりの様子で、宮橋が小さな息を鼻からもらした。

「僕は中立の立場だけどね。せめて、味方ではありたいと思っているよ」

 味方、と、雪弥は口の中で繰り返す。