時刻は、そろそろ正午頃か。高台の風を受けながら、しばらくの間ぼんやりと青い空を眺めていた雪弥は、「ねぇ宮橋さん」と暇がてら呼ぶ。

「こんなところで、ゆっくりしていてもいいんですか?」

 ここに到着してすぐ、時間を無駄にしたくないかのように即、動き出していた宮橋を思い返せば当然浮かんでくる疑問だった。

 すると、寛ぎ座っている宮橋が答えてくる。

「準備は整ったからな。いつ来てもオーケーだ」
「はぁ。だから悠長に構えているわけですか……」
「時間は知らないが、まぁ、ここにいれば、向こうから来るんだろう。三日後だと、あの大男は言っていたじゃないか」

 確かに、あの大男は『三日後だ』と言っていた。

 でも雪弥はとしては、待ち合わせ場所を指定したわけでもないので、なんだか変な感じもするのだ。

「ここに、現われますかね」

 思わず、雪弥が呟きを落とすと、宮橋が一つ頷いて即言う。

「現われるさ。どこへ行こうとも追うと、わざわざご丁寧に教えてもきただろう。決まり文句とはいえ、〝それに間違いはない〟からね」

 やれやれと宮橋が胡坐をかいた足に、腕を乗せて頬杖をつく。