やがて周囲のコンテナを見渡せる、だだっ広い敷地の中央まで来た。そこで宮橋が足を止めると、不意にこんなご所望を口にした。

「見晴らしの一番いいところに行きたい」

 ……これも、後輩(げぼく)か護衛役の仕事だったりするのだろうか。

 そう感じた雪弥は、ひとまず「はいはい」と答えてコンテナの上まで移動した。そこから彼が希望している条件に合うところを探す。

「やっぱり、あそこかなぁ」

 ひょいひょいっと移動して、雪弥は管理棟の天辺から手を額にやって眺めた。

 船からの大型積み荷を下ろしていくためのものだろうか。クレーン型に近い作業用の固定型巨大機器が、そこには設置されてあった。

 中央を、ここよりも近くで一望できる巨大な〝モノ〟だ。

 横には鉄の梯子も設けられている。それはメンテナンス用もかねて、クレーンの折れたアーム部分の天辺まで続いていた。

 ひとまず雪弥は、宮橋をそこへ案内する事にした。

「僕を抱えてジャンプしたら、許さないぞ」
「…………えぇと……うん、分かってます」

 先を越されてそう言わてしまった雪弥は、苦し紛れにそう答えた。宮橋の疑い深い目が痛くて、ゆっくりと視線をそらした。