じょじょに浮かび上がった軍用ヘリは、やがてホテルのヘリポートを離れ、上空へと飛び立った。

 やや進路変更の傾きが起こった後、揺れは小さくなり安定飛行へと移る。遊覧ヘリにも慣れている宮橋が、しばらく向こうの操縦席側を観察したのち、こう言った。

「軍用ヘリも悪くないな。僕にも操縦させてくれ」
「だめですよ……。何を唐突に言っているんですか」

 雪弥は、困ったように青い目を彼へと向けた。その眼差しは『またか』とも言いたげであるのを、宮橋はしっかり理解してもいた。

 だが、彼はビシッと指を差して述べる。

「君だって操縦するんだろう」
「まぁ、必要があればしますよ。でも日本だと、あまりないですね」
「なるほど、ステルス経験もあるのか」

 ……何も言っていないのに、また、当てられた。

 ちらりと思い返していただけなのにと、雪弥は不思議で首を捻る。真面目な顔で「なるほど」とやっていた宮橋が、飽きたように思案顔を解いた。