「いかん、いかんぞ宮橋。それなら、うちの者を何人か連れて行け。一人行動は認められん」
「そこに臨時の相棒がいますよ」

 宮橋が、くいっと親指を雪弥へ向ける。

「ぐぅっ、確かに、そうだが」

 唯一、実情を知っている小楠警部が、苦しそうな顔で考え込む。

 その時、それを見守っていた後ろの方から、控えめに声が上がった。

「えっと……あの、よければ俺が同行しましょうか?」
「竹内、君は君の仕事をしていろ」
「ですが、宮橋さん――」

 続く言葉を、宮橋が目も向けないまま手を振って遮った。

 と、不意に彼が、ほんの少し弱った様子で小さな笑みを浮かべた。

「馬鹿三鬼が戻ってくる前に、この話を終わらせたいんですよ。あのバカだけは、どうにも僕も予想がつかない」

 そう独り言みたいに口にした彼が、上司に続ける。

「小楠警部、本当に〝あなたが思っているような事ではない〟んです。だから、ちょっといってきます」

 雪弥は、小楠警部が折れるように溜息をもらすのを見た。