すると宮橋が、すぐに「冗談だ」と言って肩を竦めてみせた。

「さて、ここからが本題だ。――君、ヘリを用意出来るか?」

 またしても唐突な案件だ。

 咄嗟に反応ができず、雪弥は「はぁ」と間の抜けた声を上げた。小首を傾げてしまった際、その黒いコンタクトがされた目に、色素の薄い髪がさらりとかかっていた。

「ヘリ、ですか? まぁ、すぐに呼べますけど。どういったタイプのものがいいだとか、希望や条件などあったりしますか?」

 これまでの宮橋との事を考えて、一応確認する。

 本日は、ブラッドクロスのモノだ、とか名乗った、あの例の鬼の一族だとかいう大男が定めた殺し合いの当日だった。

 昨夜、それについて宮橋が『自分が考えたい』と言った。だから雪弥は一晩、彼に一旦任せていたのだ。

 すると宮橋が、リビングのテーブルに投げていた車のキーを、ポケットに押し込みながら答える。

「別に、どのタイプでも構わない。人間が運べて、早く目的地に辿り着ける物であれば、なんでもいい」