「これは『子』の骨。子は人の内であるから、骨自体になんら力はない。ただ、厄介な事に『彼ら』の骨は人気でね。チャンスとばかりに追ってくるモノがいて、そうすると人間は勝手にソレらに巻き込まれて不幸になる――というわけだ」

 それでいて、長いこと戻されなかった場合は『人の外である母』が出てくる。

 簡単な仕組みだろ、と宮橋が美麗な顔でフッと不敵に笑う。つまり原因があっての不幸説なのだろうかと、不思議とそんなに強い違和感らしいものも覚えないまま雪弥は少し考えた。

「ようするに僕らは、こうしているだけで厄介な事に巻き込まれる可能性が高い、という事ですか?」
「そういう事でもある。つまり僕の用事だが」

 なんとなくの範囲で尋ねたら、宮橋が上出来という顔で胸ポケットに小袋をしまって、こう続けた。

「問題になる前に、こいつを本来の場所へ返してしもおうかと思ってね」

 そうして、会計のレシートを取って席を立った。